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2022.07.28

働き方改革の中での「働きがい」と「働きやすさ」を考える

日本病院会雑誌の「銷夏随筆」に投稿した内容です。「さわらび」の内容を少々膨らましてあります。ご一読ください。

「医師も労働者なのか?」、「本当かい⁈」などと騒いでいるうちに、働き方改革にしっかり対応しなければならない夏がやってきた感があります。
そもそも、私たちは何のために「はたらく」のでしょうか?その三要素とされているのが、①生計の維持、②自己実現(個性の発揮)、③他者貢献(社会貢献)と言われています。
一説には、③に関連して「はた(傍)をらく(楽)にすること」と説明されることもあって、腑に落ちやすい解釈だと思います。
さて、労働と強く関連する経済学という学問は、1776年に出版されたアダム・スミスの「国富論(原題:諸国民の富)」によって体系化されたようです。
当時の英国は、貿易によって国富の増大を目指す重商主義に価値を置いていました。
このような時代を背景に、スミスは諸国民の富という原題の通り、富とは何か、何が国民にとって富にあたるのかについて述べています。
この中で、貴金属こそが富だと考える重商主義を批判し、富の源泉は人間の労働であるという「労働価値説」を唱えました。
また、あの渋沢栄一も「論語と算盤」の中で、「その富を成す根源は何かといえば、仁義道徳、正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。ここにおいて論語と算盤という懸け離れたものを一致せしめる事が、今日の緊要の務めと自分は考えているのである。」と述べています。
一部の人が儲かるのではなく、国民みんなが儲かって、国全体も富む、というような高いレベルで「はたらく」ということを考えていました。
病院も然り、ですよね。働くことは、自分自身のためでもあり、当然他者のためにもなっていると、疑うこともなく信じていました。
ところがここに来て、ブルシット・ジョブ(BSJ)=クソどうでもいい仕事、なる考え方が出てきました。
その定義は、「完璧に無意味で、不必要で、有害でさえある雇用の形態」とされています。
資本主義や効率化が進めば進むほど、「無意味な仕事=BSJ」が増えるというのです。
これのミソは、働いている本人も己の仕事が他者貢献のない仕事のための仕事、と自覚していることです。
今回のパンデミックによる経済停止で、社会的価値の高いエッセンシャルワークが注目されたことも、その主張の背景にあるようです。
つまり、感謝や尊敬の念を込めて呼称されたエッセンシャルワーカーの存在が際立ったこと、この現象がBSJという概念の浮上に繋がったという訳です。
私たちの仕事は、BSJの対極にあって、自己効力感や自己主体感、そして他者貢献を実感できるエッセンシャルワークであり、「働きがい」に溢れています。
この原点を基盤に据えて、如何にそこに「働きやすさ」を加えていくか、その環境を整えていくか、これが働き方改革の本質と捉えています。
これにより、全職員のエンゲージメントの向上を実現し、適応力のある地域中核病院として在り続けたいと思います。


2022.04.18

合い言葉は「さわらび」と「ニューカメレオン」

新しく当院の仲間になってくれた皆さん、大歓迎いたします。末永くよろしくお願いいたします。

働き方改革が叫ばれている中、その能力を十二分に発揮していただけるように、職場環境を整えてまいります。
例年であれば5月に、新人の皆さんを歓迎し、院内院外にお披露目する会である恒例の「さわらびパーティー」を開催するのですが、今年度も新型コロナの影響で難しいかもしれません。
その会の挨拶でいつも触れさせてもらうのが、「さわらび」という言の葉の語源についてです。
この言葉は、もちろん当院のシンボルである佐藤忠良さん作の「さわらびの像」から取ったものですが、実は万葉集の歌にまで繋がっているのです。と言うか、万葉集に初出の言葉のようであり、それが志貴皇子(しきのみこ)の詠んだ「いわばしるたるみのうえのさわらびのもえいづるはるになりにけるかも」という歌なのです。
その意味は「岩をほとばしりながら流れ落ちる滝のほとりに、蕨の新芽が芽吹く春になったんだな~」と、春到来を素直に喜ぶ名歌とされています。
実は、あの司馬遼太郎さんの「学生時代の私の読書」というエッセイの中に、戦争に召集された軍服時代2年間のあいだに、岩波文庫の「万葉集」を繰り返し読んだと記されてあり、約4500首の中から唯一この歌が取り上げられています。
その感想を「この原初のあかるさをうたいあげたみごとなリズムは、死に直面したその時期に、心をつねに拭きとる役目をしてくれました。」と表現されています。
生命の息吹というものは、どのような状況においても最強のあかるさを提供してくれる存在である、ということなのでしょう。
新人の皆さんは「さわらび」そのものであり、まさに病院全体に生まれいずるあかるさ・よろこびを感じさせてくれているとしみじみ思います。

さて、大変いい機会ですので、当院の今後の方向性について伝えておきたいと思います。
地域医療構想の基本は、二次医療圏内の中核的医療を担う基幹病院に急性期医療を集約し、そのための人財も集中させて、周辺の連携病院にその人財を派遣しつつ機能分化し、地域完結型医療を構築することにあると思います。
上十三地域においては、当院がその基幹病院としての役割を果たさなければなりません。
そのためには、さらに柔軟で適応力の高い病院に進化して行く必要があります。
現在まで、患者さんの状態に応じて柔軟に色を変えて対応できる、愛称「カメレオン病院」でやってきました。
具体的には、急性期・回復期・慢性期・在宅とすべての機能に対応し、断らない・断れない医療を展開してきました。
その精神は全く変わらない訳ですが、今後は病院機能全体を急性期寄りにシフトして行かなければならないと考えています。
そして、より高度な急性期疾患にも対応できる、「ニューカメレオン病院」となるために、全職員でスキルアップしていく必要があります。
さらなる人財の確保と共に、回復期・慢性期機能を有する連携病院への、より明確な移譲の推進も必須となるでしょう。
在宅に関しては、十和田市における附属とわだ診療所の存在意義は大変大きく、しっかり維持していかなければなりません。
是非とも全職員で当院のあるべき姿をイメージし、共有していただきたいと思います。

新しく加わってくれた「さわらび」の皆さんがもたらす原初のあかるさで、当院の隅々を照らしてもらいながら、すべての業務を見直す機会に繋げて行きましょう。
急性期の何でも屋とでも言うべき「ニューカメレオン病院」にバージョンアップしていくことが、当院の存在価値でありかつ生き残り戦略であると確信しています。
医療人として、日々省察しながら、自己研鑽を継続し、謙虚に前進して行きたいものです。

今年度もよろしくお願いいたします。


2022.01.06

パンデミック雑感

正直、新型コロナウイルスのパンデミックが、これほど長期に亘るとは予想だにしませんでした。
通常10年を要すると言われていたワクチン開発がわずか数か月で成し遂げられたこともあり、医学の進歩を実感しつつ、急速に感染終 息に向かうのではないかと楽観視しておりました。
それほど甘くはなかったようです。
そんな中、抑制的な生活が長期化すると、変化を求める欲求が高まり、新たなブレイクスルーが生まれるのが、生物として当然の合目的的な反応であろうと思います。
ブレイクスルーという表現には、ポジティブなイメージを抱きますが、ブレイクスルー感染なるものの発生については想定外でした。
ワクチン効果の隙間を突くこの現象が、私の楽観的考えを見事に打ち砕いてくれました。
ただ、このパンデミックによって、良きにつけ、悪しきにつけ、変容の扉(ブレイクスルー)が開かれたように思います。

日本で百万部を超えるベストセラーとなった「ファクトフルネス」によると、「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み=パターン化本能や「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み=単純化本能を戒めています。
私が、ワクチンが開発されればその感染症は即終息と考えたのは、まさにパターン化・単純化本能そのものなのでしょう。
感染症も情報もいまやすべてがグローバルにつながっていて、どこも制御はしていないこともあり、医療面での危機が、世界各地であらゆるビジネスの同時多発的なシャットダウンを惹起しました。
結果として、極小のウイルスにより経済活動そのものが停止してしまいましたが、世界全体が複雑に絡み合っていることを、一個人としても思い知らされました。
これも、パターン化・単純化本能では理解できない事象であろうと思います。

今回のパンデミックは、歴史を書き換えるというよりも加速させていく、という考え方があります。
多様性(ダイバーシティ)という言葉も、以前から注目されていたのでしょうが、抑制的な生活の中から加速度的に際立ってきたキイワードのように感じます。
パターン化・単純化本能に対抗するというよりも、それを包含するような幅の広い言葉だと思います。
多様性が集合知を高め、社会を強くし、組織を強くし、さらには常識の打破や発想の転換を起こしやすくする、と言われています。
組織で神聖視され不可侵なルールであっても、果たして本当にそれが有効で効率的なものなのかと、一度見直してみる必要性を後押ししてくれそうです。
一例として、非常に興味深かったのは、京大病院の松村先生が報告している「ダブルチェックの有効性を再考する」でした。
その内容は、医療安全管理の常識となっていた内服薬のダブルチェックをシングルチェックと比較したところ、エラー率は同等だった、という衝撃のデータです。
松村先生は医療事故の再発防止策の中で、半ば常識と化したダブルチェックを「神聖な牛(sacred cow)」と表現されています。その意味は、文字通りインドでの聖なる動物として扱われている牛の他に、攻撃のできない人・思想・制度など、となってます。
その神聖な牛に対して、思考の多様性で挑戦された珠玉の成果であると思います。

そこで、加速化と多様性という視点で自院のことを考えてみました。
まず、現在経験している患者数の減少は一時的なものではなく、継続する気がしてなりません。
いずれは人口減の結果として訪れる現象が相当早まっている、加速化していると感じます。
この危機感が、現在策定中の中長期計画を元から見直す機会になりました。
一般企業では、費用と収益には明確な対応関係がありますが、公営企業においてもより分かりやすくその対応関係を示すために、2014年に地方公営企業会計制度改正(新制度)が行われたと考えています。
実は地方公営企業会計が大変分かりにくいため、事務局任せにしていたことを反省し、多職種で企業会計についての自己学習をしておりました。
つい前例踏襲に陥ってしまいがちな病院会計ですが、新制度では建設改良費に対する繰入金を減価償却費と対応させるように収益化することや、累積欠損金が積みあがっていることと同時に資本金も積みあがっていること等に気付きました。
この発見は、多職種でかかわったことによる多様性の賜物であると思います。
行政からの繰り入れの見直しや積み上げてきた資本金の流用(減資)等で、累積欠損金を抑制・減少させることができるのではないか、と経営者としての事業管理者目線が疼いています。
もちろん、これだけでは見た目の数字が変わるだけですので、患者数が減少する中で医業収益をしっかり確保することを最重要課題に掲げております。

このパンデミックが、変革と改革の可能性を作り出している、とも言えます。
病院組織は専門職の集合体であり、ある意味多様性の宝庫でもあります。
今年は、常識にとらわれることなく、全職員と共に「あらゆるものを問い直す年」にしたいと思っております。


2021.08.03

世界一のジョギングコース

「緑陰随想」として、全国自治体病院協議会雑誌に寄稿した内容です。ご一読いただければ幸いです。

ズバリ!そこは、十和田八幡平国立公園内の奥入瀬渓流遊歩道です。
世界を知らない私が個人的に主張しているので、最もエビデンスレベルが低い私見ではありますが、推奨度は極めて高いと信じています。
奥羽山脈に位置する山上の湖である十和田湖から、唯一流れ出る河川が奥入瀬渓流です。
その区間は、流出口である十和田湖子ノ口から八甲田山系を流れ下る蔦川との合流点である焼山までの、標高差約200メートル、長さ約14キロに及びます。
遊歩道は、その全長にわたり整備されており、渓流とほぼ同じ高さで上質な自然と触れ合うことができます。
四季を通じて楽しむことができますが、私の一押しは皐月、5月です。
道の両脇には、キクザキイチゲやニリンソウが咲き誇り、目線を上げればカツラ・トチノキ・ブナなどの新葉が開葉し、コース全体が光をふくんだ萌黄色に染まります。
まさに新緑爆発、といった迫力とともに癒しも感じます。 きらきらとした木漏れ日の射し込む、若葉に囲まれた道を走りながら、渓流のしぶきを観、野鳥のさえずりを聴き、森林浴の風に包まれつつ、さらにその風が体のなかを吹き抜けてゆくかのような、自然との一体感を味わうことができます。
まさに、ストレスフリーの極上で、しあわせな時間です。遊歩道ですれ違う観光客の方から「贅沢だね~!」と声を掛けられ、「最高で~す!」と即答してしまう私がいる訳です。
この文章を書くのに参考とさせていただいたのが、NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会(通称おいけん)発行の「奥入瀬自然誌博物館」です。
実は、おいけん事務局長の川村祐一さんからは、「奥入瀬は走っちゃだめです。立ち止まるから、見えてくるものがたくさんあるのに!もったいない!」ときつく(?)諭されています。
ちなみに、おいけんでは、「コケさんぽ」というランブリング(ぶらぶら歩き)ツアーを企画しており、ルーペ片手に300種類以上自生しているコケを、地面に這いつくばりながら(匍匐前進?)観察するそうで、100m進むのにあっという間に1時間は経ってしまうとのことです。天然の苔庭の魅力にはまると、時間は無になるようです。
さて、コロナ禍の影響を受けて、ほぼすべてのイベントが中止となっていますが、市民マラソン大会もそのひとつです。
確かにスタート地点では、密そのものの状況にならざるを得ませんので、致し方ないとは思いますが、年間10レースほどの大会に参加している身としては、残念至極です。
このストレス解消のために、奥入瀬通いの頻度が増しているという事実があります。
病院行事も同様で、毎年 5 月に開催している新人歓迎のイベントも、2年連続で中止とせざるを得ませんでした。
当院のシンボルとなっている佐藤忠良氏作の「早蕨(さわらび)の像」からその名を冠して「さわらびパーティー」と銘打って開催されます。
地域の医療従事者の皆さんにも参加していただき、新たに加わってくれた仲間を紹介披露する200人規模の宴会なのですが、これまた残念の一言です。ところで、この「さわらび」という言の葉の由来ですが、万葉集の歌にまでさかのぼります。それが、志貴皇子(しきのみこ)が詠んだ「石(いわ)ばしる 垂水(たるみ)のうえの さわらび(早蕨)の萌え出づる春に なりにけるかも」という歌です。
その意味は、「岩をほとばしりながら、流れ落ちる滝のほとりに、若い蕨(新芽)が萌え出る春になったのだな~。」と早春の情景を素直に詠んだ歌とされています。
寒く厳しい冬を越え、待ちに待った春到来を喜ぶ歌で名歌とされています。
ひょっとして志貴皇子さんは、春の奥入瀬をそぞろ歩きしながらふと詠んだのでは、と風雅な趣のかけらもない私でも想像してしまいます。

奥入瀬渓流遊歩道は、ジョギングよし、ウォーキングよし、匍匐前進よし、そして歌を詠んでもよしと、必ずご満足いただける世界一のコースです。寒く厳しい冬のようなコロナ禍が過ぎ去った後、是非トライして欲しいと思います。


2021.07.07

新型コロナワクチン

このワクチンは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを終息させる「切り札」と言われています。
通常、ワクチン開発には10年を要すると言われていましたが、それをわずか数か月で成し遂げたことは、医学史上のマイルストーンとして記録されることでしょう。
よく 100年前のスペイン風邪が例に出されますが、比較すること自体に無理があると十分承知しつつも、医学の進歩を如実に感じてしまいます。

現在、主に接種されているワクチンは、ファイザー社製のmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。
従来とは異なり、ウイルス表面にあるとげとげ蛋白(スパイク蛋白)の設計図(mRNA)をすぐ壊れないように、ポリエチレングリコールで安定化した脂質ナノ粒子に包み込んで、ヒトの細胞内まで送り込み、その細胞にスパイク蛋白を作ってもらい、ウイルス防御のための免疫能を獲得するという画期的なワクチンです。
遺伝子操作、ナノテクノロジー、ドラッグデリバリーシステム等の最先端技術が創り出してくれた「宝物」のように感じます。
このアイデアを発案した研究者は、間違いなくノーベル賞候補でしょう。

さて、十和田市内でのワクチン接種ですが、かなり順調に進んでいると思います。
医療従事者の皆さんへの2回目接種が6月中に終了、65歳以上の市民の皆さんへの2回目接種が7月中に終了見込み、64歳以下の市民の皆さんへの2回目接種が10月中に終了見込みとのことです。このミッション遂行にあたっては、行政・医師会の先生方・当院等が連携良く協力し合えていることが、推進 力になっていると思います。日頃からの腹の見える関係づくりが、少なからず奏功しているのではないでしょうか。

また、私は十和田市民の皆さんのコロナに対する意識の高さも、後押ししてくれていると考えています。
昨年4月、当市において県内初のクラスターが発生はしましたが、その後1年以上にわたり、市内でのクラスター発生の報告はありません。
これは、市民の皆さん一人ひとりの感染予防対策の賜物であると思います。
この状況が、コロナ感染症に対する医療提供体制の逼迫を招くことなく、ワクチン接種に医療従事者のマンパワーをつぎ込めている現状に繋がっていることは、厳然たる事実です。
このまま、予定通りにワクチン接種が進んで欲しいものです。

忘れかけている日常を取り戻せる日まで、あと数か月の我慢でしょうか。
ワクチンの効果を信じるしかありませんが、その確率は高いと思います。
忘年会でお会いしましょう。


2021.04.02

働き方改革本格始動

新年度を迎え、ご挨拶を申し上げます。
コロナ禍についてはまだまだ予断を許さない状況が続いておりますが、医療従事者に対するワクチン接種が開始され、一筋の光が見えてきたように思います。
この感染災害は、我々の生き方そのものに深く影響を与えている、とつくづく感じます。一般市民の皆さんの受療行動にも変化があり、医療施設を受診する患者数の減少が続いているようです。
ひょっとしたら、コロナ禍が終息しても、元に戻らない可能性もあります。今後起こりうる現象が、新型コロナのせいで、5 年以上早まっていると考えた方がいいのかもしれません。

さらに今国会では、医師の働き方改革・タスクシフトやタスクシェアを推進する法令改正(具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、 救命救急士に関するもの)・今後の医療計画を 5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)・5事業(救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、 小児医療)から新興感染症を加えた 6 事業とする改正等が審議されており、成立する見込みです。
いよいよ2024年施行に向けて、働き方改革が本格的に始まったと感じております。

患者さんの数が増えない中、働き方改革をどう進めていくのか、これは悩ま しい問題です。
一般的には、組織の業績=労働時間×労働生産性と言われています。働き方改革は労働時間の適正化だと思いますので、労働時間は減るでし ょう。
当然のことながら、業績を維持し発展させるためには、如何にして労働生 産性を向上させるか、ということになります。ここに、タスクシフト/シェアが 大きく関ってきます。
医療施設は、国家資格を中心とした有資格者で成り立っ ている組織です。ここで重要となるのが、各専門職種における「本来業務」とは 何かを問い直すことだ、と言われています。生産性向上の観点から、α本来業 務、β他の職種でもできる業務、γその他の誰かがやらなければならない業務、 に振り分けてみてくだい。βはタスクシフト/シェアへ、γはRPA等のICT化 で対応できるかもしれません。
働き方改革は、如何にして各個人の生産性を上げるかということですので、自分事として捉え、是非考えて欲しいと思います。

この振り分けが、地域全体で共有できれば、働きやすく質の高い医療を提供 できる地域という特徴を持つ「まちづくり」にもなるのではないか、と妄想して おります。
今年度もよろしくお願い致します。